2019年07月04日

文章中の一部の文字に囲み罫をつける【InDesign】

DTP作業者にとっての難易度 ★★★☆☆(3)

※2022.11.17/サンプルデータを更新(Glyphs作成フォントが含まれていなかったので追加)


今回は文章の一部の文字に囲み罫をつける方法について考えてみました。少し手間はかかりますが設定そのものは難しくはないと思います。

0703b.png

まずは動画をご覧ください。


以下、設定についてご説明します。

テキストの入力

テキストでは囲みたい文字の前後を「欧文スペース」「全角スペース」「emスペース」で挟んでおきます。

「欧文スペース」は行末で吸収される性質があるため囲み前後のアキのために採用しました。フォントによって文字幅が一定でないのでコントロールしにくいのが欠点ですが、今回は専用フォント(「欧文スペース」の幅を全角にデザインしたもの/Glyphsで作成)を使用することで解決します。

※アキ部分の幅を正確にコントロールする必要がなければこのフォントを使用する必要はありません。


「全角スペース」は縦罫として使用、「emスペース」は囲み内のスペースを確保するために使用します。いずれも全角分の文字幅を持つのでいろいろ計算しやすいことがポイントです。

では、設定の手順をご覧ください。

基本の段落スタイルを用意する

今回は説明しやすいよう文字サイズを「20Q」としました。「日本語文字組版」の「ぶら下がり方法」は「なし」、「全角スペースを行末吸収」はオフにします。これ以外の設定にした場合、テキストフレーム外に囲み罫が引かれてしまうことがあります。

上下罫のための線種を用意する

今回は20Qの文字を太さ0.15mmの罫線で囲むことにしました。上側罫線の上端から下側罫線の下端までの幅は6mmとします。
このために新規線種を作成します。「種類」は「ストライプ」とし、上下に幅「2.5%」の線が表示されるように設定します。このパーセンテージは「0.15〈表示部分の幅〉÷6〈罫線全体の幅〉×100」で求められます。

上下罫部分の文字スタイルを作成する

s1.png

文字スタイルの「下線」で設定をおこないます。「線幅」は「6mm」と設定、「線種」は先に作成したものを選択します。問題は「オフセット」ですが、一般的な和文書体の場合「文字サイズ〈mm〉×0.38」にマイナスをつけた値とします。

※「オフセット」に関する説明は「なんでやねんDTP」の大石さんが「打ち消し線と下線の基準位置など」(http://works014.hatenablog.com/entry/20101115)で詳しく説明されていますので一読されることをお勧めします。


縦罫部分の文字スタイルを作成する

s2.png

先に作成した上下罫部分の文字スタイルをベースに作成します。「下線」の「線種」は「ベタ」とします(「線幅」および「オフセット」は変更しません)。
次に「詳細文字形式」の「水平比率」を「3%」とします。これは「縦罫の太さ〈mm〉÷文字サイズ〈mm〉×100」と計算したものです。

※念のため「文字前(後)のアキ量」は「アキなし」としておきます。


囲み内アキ部分の文字スタイルを作成する

s3.png

先に作成した上下罫部分の文字スタイルをベースに作成します。
今回は縦罫の幅を含めて四分となるよう設定したいと思います。このためには「詳細文字形式」の「水平比率」を「25%〈四分〉−3%〈縦罫の幅〉」で「22%」と設定すれば良いことになります。
なお、縦罫の幅を含めて1mmとしたい場合であれば「1〈mm〉÷5〈mm〉×100−3〈%〉」とすれば良いわけです(5〈mm〉は全角の幅)。

※念のため「文字前(後)のアキ量」は「アキなし」としておきます。


囲み前後アキ部分の文字スタイルを作成する

s4.png

今回は囲み前後のアキ幅を四分にします。幅を正確にコントロールするためにフォントは欧文スペースの文字幅が全角 の50% にデザインしたフォント「zksp Regular」(Glyphsで作成したもの)を使用します。

※アキ部分の幅を正確にコントロールする必要がなければこのフォントを使用する必要はありません。


「詳細文字形式」の「水平比率」を「25%」とすることでアキが四分となります。もしもアキを1mmにしたいのであれば「(アキ〈1mm〉÷文字サイズ〈5mm〉)×100」で「20%」とします。

※念のため「文字前(後)のアキ量」は「アキなし」としておきます。


正規表現スタイルを設定する

段落スタイルに対して正規表現スタイルを設定します。設定内容についてはサンプルデータをご覧ください。

一般に文章中に「欧文スペース」「全角スペース」「emスペース」が連続するケースはあまりないので不要な箇所に正規表現スタイルが適用されてしまう危険性は低いと思います。ただ、実際に使用する時は充分に確認するようお願いします。

※2022.11.17/サンプルデータを更新(Glyphs作成フォントが含まれていなかったので追加)

サンプルデータはこちら《kakomi_20190703b-2.zip》です。
posted by 照山裕爾 at 03:50| Comment(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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