2016年11月08日

Wordの文字飾り・文字色・蛍光ペンをInDesignの文字スタイルに反映する

DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)

※2019.06.03・06.11・06.12・06.14/サンプルデータを更新しました(文末脚注の文字にも対応・上付き、下付き、傍点4種類にも対応・一部タグを見直し・コードを見直し)

※2019.06.28/サンプルデータを更新しました(タグが重複する箇所を処理から除外するクエリを追加)

※2022.09.27にサンプルデータを更新しました(蛍光ペンが改行をまたぐ場合に正しく処理されるよう修正)。

【2019.6.15】『Word文書の体裁(ルビ・文字飾り・脚注など)をInDesignに反映する』http://mottainaidtp.seesaa.net/article/467138279.html)にてルビや脚注の処理なども含む一連の作業手順を整理しています。併せてご覧ください。


半年ほど前に『Wordの蛍光ペン(マーカ)部分をInDesignの文字スタイルに反映する』を書き、仕事でもこれを使用してきました。先日、INDD 2016に登壇する際、これをベースにWordマクロやInDesignの検索/置換用クエリ、JavaScriptを整理しましたので、あらためてご紹介します。

※INDDで配付したものから、さらに一部手を加えています。


具体的な作業は「Wordでマクロを実行し、文字飾り・文字色・蛍光ペン部分にタグを付加する」「InDesignに読み込み、検索/置換によりタグ部分に文字スタイルを適用する」という2段階になります。まずは動画をご覧ください。
詳細は以下を参照ください。

Wordでタグを付加する

A1108a.png

※マクロ実行前のWordファイルは保存しておきましょう。

※このマクロでは文書内のコメントなどは削除します。

※マクロはMac版Word用に作成しています。「\」を「¥」に置き換えることでWindowsでも使用できると思いますが試しておりません。


文字飾り部分にタグを付加する

Word上で「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」が摘要されている部分にタグを付加します。

※Wordでは多くの段落スタイル・文字スタイルの設定に文字飾りが使用されているため、これらの箇所にもタグがついてしまいます。また、URLなどハイパーリンクの下線部分にもタグが付加されます。これを考えると文字スタイルの指示には文字色や蛍光ペンを使用したほうが良いように思います。


文字色部分にタグを付加する

Word上で文字色が「標準の色」(濃い赤・赤・オレンジ・黄・薄い緑・緑・薄い青・青・濃い青・濃い紫)となっている部分にタグを付加します。

※その他の色には対応していません。

URLなどのハイパーリンクの青文字部分にもタグが付加されます。


蛍光ペン部分にタグを付加する

Word上で蛍光ペンが設定されている部分にタグを付加します。

※ファイル形式が「doc」では全色にタグが付きますが「docx」では一部の色(濃い青・青緑・緑・濃い赤・50%灰色・25%灰色)にタグが付きません。


InDesignで文字スタイルを適用する

B1108a.png

※動画内では検索/置換で文字スタイルを適用すると同時にタグを削除していますが作業手順によっては問題が生じることがあるので2019.6.12サンプルテキストの各クエリではタグを残すことにしました。すべての文字スタイルを適用した後、全タグを削除してください(全タグ削除用のクエリも追加しました)。



検索/置換用クエリを使用する

タグに挟まれた部分に文字スタイルを適用するクエリを用意しました。1つずつ使用することもできますし、市川せうぞーさんの「run_Queries 0.3」や当ブログの「フォルダ内のGREPクエリをスクリプトで一括実行する」で複数クエリを連続実行することもできます。

JavaScriptを使用する

4種類のJavaScriptを用意しました(文字飾り用・文字色用・蛍光ペン用・一括用)。必要があれば「chikan(" a "," b "," c ");」部分を編集してお使いください(a→タグ内文字列 b→文字スタイルグループ名 c→文字スタイル名)。

※不要な行は削除するか「//」などでコメント化してください。

※JavaScriptに記述されている文字スタイルグループおよび文字スタイルがInDesignドキュメント内に存在しない場合はエラーとなります。

2016.11.09時点の古いサンプルデータはこちら《minimum_20161109.zip》です。最新のサンプルデータは本ページ最下部をご覧ください。

【2019.06.03追記】複数の属性が重なる場合

たとえば「太字」と「下線」、あるいは「文字色」と「太字」などのように複数の属性が重なる場合、上記のような文字スタイルを適用すると問題が生じます(後から適用した文字スタイルのみが生きて先に適用していた文字スタイルは解除された状態になります)。
複数の属性が重なる場合は文字スタイルを適用するのではなく検索/置換ダイアログの「置換形式の設定」で属性を設定して適用します(下図は「下線」の属性を適用するケース/この時点ではタグを削除しません)。すべての属性を適用し終えた後、タグを削除します。
2019.06.03のサンプルデータには作業用の検索/置換クエリも入っています。なお検索/置換を一括で実行したい場合は当ブログの「フォルダ内のGREPクエリをスクリプトで一括実行する」のスクリプトをご利用ください。
0603.png

【2019.06.28追記】

複数タグの重複に気付かず作業すると上記のように文字スタイル外れという問題が生じます。これを避けるため、タグの重複箇所を作業対象から除外した置換クエリ群を追加しました。一括処理した場合でもタグ重複箇所は未処理となりますので、その後、個別に状況を見ながら処理してください。

※文章中に < および > の記号が使用されている場合は正しく処理が行われませんのでご注意ください(一度他の文字に置き換えておくなど面倒な作業が必要になります)。

※重複を考慮しない旧クエリ群も残しています。

※2022.09.27にサンプルデータを更新しました(蛍光ペンが改行をまたぐ場合に正しく処理されるよう修正)。


2022.09.27のサンプルデータはこちら《minimum_20220927a.zip》です。
posted by 照山裕爾 at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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