DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)
情報誌など定形フォーマットが数多く並ぶレイアウトを作成する際に便利なのがInDesignの「データ結合」機能です。今回は、その大まかな流れをご紹介します。下図はデータ結合によって作成したレイアウトの完成イメージです。

※企業の名刺など「要素の配置が同じで内容(名前・部署など)を差し替えるレイアウト」を何種類も作る場面でも活用できます。
文章でご説明すると長くなりますので動画をご覧ください。
動画内で使用しているLibreOfficeは無料のソフトです。
以下から入手できます(2014年1月30日時点)。
http://ja.libreoffice.org/
多くの場合、データ結合機能を使ってレイアウトを組んだ後にInDesign上でさまざまな調整をおこなうことになると思います。その際の工夫点については、次回以降で少しご紹介するつもりです(不要な要素の削除など)。
編集者(発注者)の方々へ
データ結合は簡単で便利な機能ですが注意すべき点もあります。それは「InDesign上で文字修正などをおこなった場合、その修正内容は元のExcelファイル(などのデータベース)に反映されない」ということです。ですから、理想的にはExcelデータが完全な状態になってからデータ結合を実行し、それ以降の文字修正はおこなわないという作業フローを目指すべきでしょう。
※本格的にデータベースとレイアウトの相互リンクを実現したいのであれば他の方法を検討すべきです。
やむを得ずInDesign上で文字修正をおこなうことになる場合、Excelファイルの文字修正は誰がどのような方法でおこなうか、そのための費用や時間は確保できるか……を十分に検討しておくことが大切です。放っておくとInDesign上の文字とExcelファイル上のテキスト内容が食い違うことになり、次回以降の印刷物作成の場面でトラブルが生じる可能性もあります。
私の場合、まずは「編集者の方にExcelファイルを修正していただく→その箇所を(色をつけるなどの方法で)ご指示いただく→私がInDesignに反映する」という流れをご提案します。私のほうで修正をすることになる場合は「InDesignとExcelファイルを並行して修正するのでミスするリスクはある」とお話しした上でお受けします。なお、修正作業にExcelを使用すると1段まちがえて入力するなどのミスが起きやすいので、私はカード型データベースソフトのファイルメーカーProを購入しました(1情報を1画面で表示できるので他の情報を触る可能性が低いため)。ただ、すべてのDTP作業者がこの類のソフトを使用しているわけではないことをご理解ください。
このように運用に多少の注意は必要ですがデータ結合は様々な活用方法が考えられる便利な機能です。ぜひDTP作業者と相談して試してみてください。
【2016.4.13追記/併せてご覧ください】
「データ結合後のレイアウトからテキストを抽出する」を書きました。完成後のレイアウトからHTMLファイルを書き出し、それを整形してテキストを抽出する方法を考察しています。