DTP作業者にとっての難易度 ★★★☆☆(3)
あるレイアウトで見出しに続いて下図のような罫線を引く場面がありました。

最も簡単な方法は「線ツール」で罫線を作成することでしょう。

しかしこの方法でレイアウトを作成すると、テキストフレームの幅を変えた時や見出しの文字数が増減した場合は、それに合わせて罫線の長さを調整しなければなりません。
※罫線と文字の間隔を正確にコントロールできないという欠点もあります(見出しにアルファベットが含まれる場合など)。
「段落境界線」という機能を使って罫線を描くと上記の問題を回避することができます。まずは動画をご覧いただきましょう。
段落境界線の設定
段落境界線には「前境界線」と「後境界線」の2種類があります。前者は前段落との間に罫線を描くためのもの、後者は後段落との間に罫線を描くためのものです。今回は、これら2種類の線を重ねて使用します。前境界線
まず「前境界線」で下図のような赤い線を描きましょう(下図は前境界線のみ完成した状態のイメージです)。
最初に下図のように設定してみます。「幅」を「列」と設定したのはテキストボックスの幅いっぱいに境界線を引くためです(「左インデント」および「右インデント」の値で先端の位置を調整することもできます)。

この段階では境界の上下位置は下図のような状態になっています。文字の仮想ボディ下端に境界線の下端が揃った状態です。

次に「オフセット」の値を「4mm」(文字サイズが16級なので)と設定すると境界線が上方向に4mm移動し、文字の仮想ボディ上端に境界線の下端が揃った状態になりました。

境界線の太さ分(0.5mm)だけ「オフセット」の値を小さくして「3.5mm」と設定すると、文字の仮想ボディ上端に境界線の上端が揃った状態になりました。

値を半分「1.75mm」にすることで、文字と境界線の上下センターが揃いました。前境界線は以上で設定完了です。

後境界線
後境界線は、前境界線を隠すために使用します。※後境界線のほうが前境界線よりも前面に描かれます。
最初に下図のように設定してみます。「幅」を「テキスト」と設定すると、入力された文字と同じ幅の境界線を引くことができます(「左インデント」および「右インデント」の値で先端の位置を調整することもできます)。なお、「線幅」は文字サイズと同じ「4mm」と設定しました。
※見やすいように境界線には色をつけています。

この段階では境界線の上下位置は下図のような状態になっています。文字の仮想ボディ下端に境界線の上端が揃った状態です。

「オフセット」の値を「-4mm」と設定すると境界線が上方向に4mm移動し、文字とぴったり重なる状態になります。

「右インデント」の値を「-1mm」と設定することで、右側の線端を右方向に1mm伸ばすことができます。

この後、境界線の色を白に変更すれば完成です。
別パターン
この考え方を応用すると下図のような体裁も実現できます。詳細はサンプルデータをご覧ください。
編集者のみなさまから「こんな修正もあり得る」という情報をいただけるとDTP作業者はそのための準備・工夫がしやすくなります。「早く、漏れなく、正確に修正できるデータづくり」のために、さまざまな事前情報をご提供ください。
サンプルデータはこちら《minimum0704.zip》です(CS4以降)。
なるほど、右インデントタブに打ち消し線という方法は思いつきませんでした。いろんな方法を知っておくと場面により柔軟に対応できていいですね。
他の皆さまも良いアイデアがありましたら、ぜひお寄せください。