DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)
下図のように文章内に計算式を記述するケースを考えます。
計算式(1行目)の括弧の前後にあるアキが気になるので、ここを詰める方法を検討しましょう。

括弧の前後にアキが生じているのは『文字組みアキ量設定』(詳しくは《こちら》を参照)で『行中』の文字間が『50%(0%〜50%)』と設定されているからです。

『行中』の値を『0%固定』に変更すれば1行目の括弧の前後は詰められます。しかし2行目の括弧の前も詰まってしまうので、その方法は採用できません。
この問題を解決するために正規表現スタイルを使用します。
括弧の前後のアキを詰める
まずは動画をご覧ください。正規表現スタイルの設定は以下の通りです。

上段は『(?<=[+−×÷=])(』に対して『前-ベタ』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『(?<=[+−×÷=])』は「直前の文字が『+』『−』『×』『÷』『=』のいずれかであること」という条件を示しています。『(』は全角の始め括弧です。
下段は『)(?=[+−×÷=])』に対して『後-ベタ』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『)』は全角の終わり括弧です。『(?=[+−×÷=])』は「直後の文字が『+』『−』『×』『÷』『=』のいずれかであること」という条件を示しています。
これで下図のように括弧の前後のアキが詰まりました。

しかし上の画像をよく見ると、1行目の『−』の左右のアキ具合が違うことに気付きます。左側(『額』との間)はベタ、右側(『2』との間)は四分アキになっています。『×』と『4』の間も四分アキです。
ここに四分アキが生じているのは『文字組みアキ量設定』で『和欧間』が『25%(12.5%〜50%)』と設定されているからです。

『和欧間』の値を『0%固定』に変更すれば数字と『+』『−』『×』『÷』『=』との文字間をベタにできます。しかし2行目の数字の前後も詰まってしまうので方法としては不適当です。
この問題も正規表現スタイルで解決しましょう。
計算記号の前後を八分アキにする
まずは動画をご覧ください。※『+』『−』『×』『÷』『=』の前後をベタにすることもできますが、少し窮屈になりそうなので今回は前後とも八分アキに設定します。
追加した正規表現スタイルの設定は以下の通りです。

『[+−×÷=]』に対して『前後-八分アキ』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『[+−×÷=]』は「[ ]内のどの文字でも構わない」という条件を示しています。
この結果、下図のように『+』『−』『×』『÷』『=』の前後がすべて八分アキになりました。

文字間がどのように変わっていったかを下図でご確認ください。

今回のようなケースで、DTP作業者が1箇所ずつ手作業で文字スタイルを適用していくとしたら少々面倒です。全体の文章量が多くなれば負荷が大きくなり、ミスが生じる可能性も高くなります。正規表現スタイルは、そこから生まれるロスを軽減するのにとても役立つ機能なのです。
サンプルデータはこちら《minimum0529.zip》です(CS4以降)。