DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)
前回に続いてInDesignの文字間調整機能についてご紹介します。
文字前のアキ量、文字後のアキ量
選択した文字の前後のアキ量をプルダウンメニュー(『自動』『ベタ』『八分』『四分』『三分』『二分』『二分四分』『全角』)で設定します。『自動』では『文字組みアキ量設定』の設定値が使われます。約物前後のアキを設定するのに便利です。
カーニング
カーニングは、特定の文字の組み合わせに対する文字間調整機能です。『自動調整』と『手動調整』があります。
自動調整
文字を選択した状態で『和文等幅』『メトリクス』『オプティカル』から調整方法を選択します。『和文等幅』では文字の形状に合わせた文字間調整はおこないません。ベタ組みや均等詰めなどの際に選択します。
※いわゆる半角欧文文字は文字の形状に合わせて詰められます。
『メトリクス』では文字の形状に合わせて自動的に文字間が詰められます。たとえば横組みでは「ッ」「ト」などの文字間は「ヘ」「ア」などに比べて大きく詰められることになります。タイトル文字や見出しなど、ツメ組みにしたい場面で使用すると便利です。文字間調整にはフォントメーカーが可読性を考慮して設定した値が使われます。
『オプティカル』ではInDesignが文字の形状を判断し、隙間なく並ぶように文字間が詰められます。『メトリクス』とは詰まり具合が異なります。フォントメーカーが詰め情報を持たせていないフォントでも文字詰めが可能です。
(追記/DTP作業者の方へ)
InDesignには『OpenType機能』の『プロポーショナルメトリクス』という項目もあります。『カーニング』で『メトリクス』を使用する場合は、こちらもチェックしたほうが良いようです。こちらの方(なんでやねんDTP)が詳しくお書きになっており、とても勉強になりました。手動調整
文字と文字の間でカーソルを点滅させ、数値で文字の詰め具合を調整します。単位は1/1000emです(1emは全角1文字分の幅だと考えれば良いでしょう)。たとえば値を「-500」と設定すると半角詰まることになります。気になる箇所の微調整で使用するケースが多くなると思われます。
字送り
文字を選択し、数値で文字の詰め具合を調整します。単位はカーニングの手動調整と同じく1/1000emです。主に均等詰め、均等開けに使用することになるでしょう。ただ、均等詰めをおこなうと漢字や欧文文字が詰まり過ぎる(文字同士が接する)可能性が高くなるので、今日では詰める目的での使用頻度は高くないと思います。
文字ツメ
各文字の前後に存在するアキのうち何パーセントを詰めるか、を設定します。同じ設定値でも、もともとのアキが大きいところほど大幅に詰まることになります(漢字や欧文も僅かに詰まりますが文字同士が接する可能性は『字送り』ほど高くはありません)。キャッチコピーなど詰め気味に組みたい時に使用すると効果的です。
※カーニング『和文等幅』の状態から文字ツメをおこなっても構いませんが、カーニング『メトリクス』とし、さらに詰めたい場合に軽く文字ツメをおこなうという方法もあります。
このようにInDesignの文字間調整機能は多彩で、さまざまな体裁を実現することができます。編集者の方に「こんな状態を実現したい」ということを丁寧にご説明いただければDTP作業者は使うべき機能を選択しやすくなります。ぜひ、DTP作業者とじっくり話をしてください。