DTP作業者にとっての難易度 ★☆☆☆☆(1)
長文レイアウトなどで段落行頭を字下げしたい場合、あらかじめ著者や編集者の方がテキストデータの段落行頭に全角スペースや半角スペースを入力しておく、というケースがよく見られます。
しかし、この方法だと文章量が増えるほど入力漏れの可能性が高くなりミスの発生源になりやすいものです。
InDesignには『文字組みプリセット』というものが用意されています。適切なプリセットを選択すれば、スペース文字を使用しなくても段落行頭や折り返し行頭、行末のアキ量を簡単に設定することが可能です。
※下図はInDesignの『環境設定』ダイアログです。ここでチェックした項目が『段落設定』ダイアログなどに表示され、文字組みに対して適用できます。

『文字組みプリセット』で何が設定できるか
■段落行頭を字下げするか否か
段落行頭の1文字目が通常の文字の場合に字下げするか否か、を設定できます。
■段落行頭が起こし括弧類だった場合の体裁
段落行頭の1文字目が起こし括弧類だった場合の体裁を「半角(行頭にアキなし)」「全角(行頭に二分アキ)」「字下げ・起こし食い込み(行頭に全角アキ)」「字下げ・起こし全角(行頭に全角+二分アキ)」の、いずれにするか設定できます。
■折り返し行頭が起こし括弧類だった場合の体裁
折り返し行頭の1文字目が起こし括弧類だった場合の体裁を「半角(行頭にアキなし)」「全角(行頭に二分アキ)」の、いずれにするか設定できます。
■折り返し行末が句点だった場合の体裁
折り返し行末が句点だった場合の体裁を「半角(行末にアキなし)」「全角(行末に二分アキ)」「半角 / 全角(他部分の状況により半角か全角かが決まる)」の、いずれにするか設定できます。※ぶら下がりが実行された場合は設定は無視されます。

■折り返し行末が受け括弧類だった場合の体裁
折り返し行末が受け括弧類だった場合の体裁を「半角(行末にアキなし)」「全角(行末に二分アキ)」「半角 / 全角(他部分の状況により半角か全角かが決まる)」の、いずれにするか設定できます。
上記各項目についてのルールを決定し、DTP作業者にお伝えください。
なお、必要があればInDesignの『文字組アキ量設定』という機能で、さらにカスタマイズした設定を作ることも可能です。これについては、また後日ご説明しようと思います。
InDesignで不要なスペースを削除する
段落行頭にスペースが入力されたテキストデータを受け取った場合、DTP作業者はInDesignに配置(下図・左)した後、正規表現による検索/置換により削除してしまったほうが良いでしょう(下図・右)。
※下図・左では全角スペース部分に赤マーカ、半角スペース部分に青マーカを表示しています。

検索/置換の設定は以下の通りです。

『検索文字列』は「^[~( ]+」とします。「^」は段落行頭という条件。「[ ]」内には「~(」(全角スペースという意味)と、図では見えませんが半角スペースが入力されています。「[ ]」で囲むことで、これらのいずれか1文字という意味になります。「+」は1つ以上という条件です。つまり「段落行頭に全角スペースまたは半角スペースが1文字以上存在する」という部分を検索します。
『置換文字列』を空欄にしておくことで、検索した文字は削除されることになります。
その後、字下げの体裁にしたいのであれば段落スタイルで文字組みプリセットを選択し直します。
Microsoft Wordでスペース文字を使わずに段落行頭を字下げする
先にご説明したとおり、テキストデータの段落行頭に全角スペースまたは半角スペースを入力していただく必要はありません。しかし「テキスト入力時も字下げしておかないと雰囲気がつかめない」などとお考えの方も多いでしょう。そこで、ご存じの方も多いと思いますがMicrosoft Wordでスペース文字を使わずに段落行頭を字下げする方法をご紹介しておきます。
Microsoft Wordの『段落』ダイアログ→『インデント』→『最初の行』を『字下げ』と設定。さらに『幅』を『1字』と設定します(下図参照)。
