文字スタイルは、InDesign上で選択した文字の書式を簡単に指定できる機能です。《見出し、本文などの書式指定を簡単・確実に……段落スタイル》でご紹介した段落スタイルと同様、レイアウト作成の効率化のためにとても重要な機能です。
InDesignにおける文字スタイルの適用
DTP作業者は、あらかじめ文字スタイル(フォント、文字サイズ、文字色、下線などの各種設定)を用意しておきます。InDesignで文字を選択し、『文字スタイル』パレットでスタイルを適用します。
後で文字スタイルの登録内容を変更すれば、該当箇所の書式が一気に変更されます。
Microsoft Wordの文字スタイルをInDesignに反映する
《Microsoft Wordの段落スタイルをInDesignに反映する》でご紹介したのと同様、Microsoft Word上で文字スタイルを適用しておけばInDesignに反映させることができます。
Microsoft Wordには『斜体』『強調太字』『参照』などの文字スタイルが用意されています。

※Mac版の場合、スタイル一覧にが表示されているものが文字スタイルです。
のマークが示されているものは段落スタイルなので今回は使用しません。
※Windows版の場合、スタイルウインドウでが表示されているものが文字スタイルです。
のマークが示されているものは段落スタイルなので今回は使用しません。また、混乱を避けるために
のマークが表示されているものも使用しないほうが良いでしょう。
編集者はWord上で選択した文字に文字スタイルを適用し、『Word文書』(拡張子『.docx』や『.doc』)として保存します。
※Wordに用意されている段落スタイルではなく、ご自身で作った段落スタイルを使用しても構いません。また、Wordの段落スタイルの設定内容(たとえば文字色やフォントなど)は変更していても問題ありません。
保存したWord文書データをDTP作業者に渡してください。
DTP作業者は、InDesignのレイアウトにWord文書を配する際に『スタイルマッピング』ダイアログで「Wordの各スタイルを、InDesignのどのスタイルに対応させるか」を設定します。これで、Microsoft Wordの文字スタイルをInDesignに反映することができました。
※配置作業後、DTP作業者は念のためにスタイルのオーバーライド消去という作業をおこないます(不要なWordの属性をクリアするため)。
Microsoft Wordの『太字』『フォントの色』『蛍光ペン』文字スタイルなどを文字スタイルに置き換える
Microsoft Wordでテキストデータの準備をする際、目立たせたい箇所に『太字(ボールド)』を指定したり、『フォントの色』で文字色を指定したり、『蛍光ペン』でマークをつける方は多いのではないでしょうか。しかし、これらの指定をInDesignに反映させることは困難です。

InDesignに反映させたいのであればMicrosoft Wordの『検索と置換』機能を使って、これらの箇所に文字スタイルを適用すると良いでしょう。
作業はさほど難しくありません。以下の説明をお読みいただかなくても動画をご覧になれば分かると思います。
■たとえば太字部分に文字スタイルを適用するためには、『検索と置換』ダイアログの『検索する文字列』でカーソルを点滅させて『書式』プルダウンメニューから『フォント』を選びます。ダイアログで『太字』を選択すれば太字部分が検索対象に設定されます。
■続いて『置換後の文字列』でカーソルを点滅させて『書式』プルダウンメニューから『スタイル』を選択。ダイアログで目的の文字スタイルを選択します。
この後『すべてを置換』をクリックすれば、対象箇所に文字スタイルが適用されます。
最初は少し面倒でも慣れてしまえば簡単な作業です。少なくともDTP作業者に「太いゴシックにしてほしい箇所にマーカをつけておいたので、プリントアウトしたものを見ながら指定してください」と依頼するよりも、ずっと負担(DTP作業者の負担、編集者の校正時の負担)は少なくなると思います。