DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)
《見出し、本文などの書式指定を簡単・確実に……段落スタイル》に書いたように、InDesignの段落スタイルはDTP作業の効率を上げるために重要な機能です。ただ、DTP作業者がInDesign上で1箇所ずつ段落スタイルを適用するのは時間がかかりますし、数が多くなると作業ミスの可能性が高まります。また、編集者にとっても校正時に「DTP作業者がミスしていないか」を確認するのは面倒なのではないでしょうか。この作業の精度を上げるために有効なのが「Microsoft Word上で段落スタイルを適用しておき、それをInDesignのレイアウトに反映する」という方法です。
Microsoft Wordには『標準』『見出し1』『箇条書き』などの段落スタイルが用意されています。

※Mac版の場合、スタイル一覧にのマークが示されているものが段落スタイルです。
が表示されているものは、後日ご説明する文字スタイルというものです。
※Windows版の場合、スタイルウインドウでや
のマークが示されているものが段落スタイルです。
が表示されているものは、後日ご説明する文字スタイルというものです。
編集者はWord上で各段落に段落スタイルを適用して『Word文書』(拡張子『.docx』や『.doc』)として保存します。
※Wordに用意されている段落スタイルではなく、ご自身で作った段落スタイルを使用しても構いません。また、Wordの段落スタイルの設定内容(たとえば文字色やフォントなど)は変更していても問題ありません。
保存したWord文書データをDTP作業者に渡してください。
DTP作業者は、あらかじめInDesign上に必要な段落スタイルを用意しておきます。段落スタイルの名称は、Wordの段落スタイル名と異なっていて構いません。

このInDesignのレイアウトにWord文書を配置します(データを読み込むこと)。この際、『スタイルマッピング』というダイアログで「Wordの各スタイルを、InDesignのどのスタイルに対応させるか」を設定することができます。

※配置作業後、DTP作業者は念のためにスタイルのオーバーライド消去という作業をおこないます(不要なWordの属性をクリアするため)。
これで、Microsoft Wordの段落スタイルをInDesignに反映することができました。一連の手順が正しく行われれば段落スタイル指定漏れなどといった問題は生じないはずです。
なお、この作業手順を採用するのであれば、事前にDTP作業者と打ち合わせをしたほうが良いでしょう。本番の前に、ダミーのデータなどを使ってテストをおこなっておくと安心です。
(追記)
Microsoft Wordを使用していないなど、あらかじめテキストデータに段落スタイルを適用できない場合は《正規表現による検索/置換で段落スタイルを指定する》に書いた方法を採用すると良いでしょう。