2020年07月11日

段落スタイルを使用しない「ぶら下げ行」【InDesign】

DTP作業者にとっての難易度 ★☆☆☆☆(1)

※2020.7.17追記あり

先日、twitterに「縦組みで右ページ1行目のアキ行は自動的に削除(吸収)し、左ページ1行目(ノド直後)のアキ行は残す方法はないか」という書き込みがありました。当ブログの『アキ行をフレーム外にぶら下げる・突き出す【InDesign】』を用いると、左右どちらのアキ行も吸収してしまうため解決できません。
そこで別の方法を考えてみたのですが、簡単な方法でクリアできることが分かりました。

@左ページのみマスターページの行数を1行増やす(小口側)。
A前面にレイヤーを設け、@で増やした最終行の前面に回り込みオブジェクト(境界線ボックスで回り込む)を置く。オブジェクト上部はフレームグリッドに揃えず1mmだけアキを設ける。

※2024.9.16追記/1mmではなく1.05833mm(おそらく3pt)以上にすると後述の「全ストーリーの再計算」を実行しなくても正しく表示されるようです。私は1.25mm以上に設定することにしました。

※2020.7.17追記/回り込みのモードは「境界線ボックスで回り込む」ではなく「オブジェクトのシェイプで回り込む」にしたほうが安定するようです。サンプルデータも更新しました。


これだけです。

回り込みオブジェクトがある行に文字は入れませんが、改行コードだけであれば1mmの隙間に入ることができる……というわけです。

なお、前面レイヤーを非表示にしても回り込みは保たれますので不要なオブジェクトが出力されることは避けられます。

※デフォルトでは「レイヤーオプション」の「レイヤーの非表示でテキストの回り込みを無効にする」がオフになっているためです。これをオンにするとレイヤーを非表示にすることで回り込みが解除されてしまいますのでご注意ください。


この方法を右ページにも用いれば、ノド直後のアキ行も吸収することができます。もちろん、横組みでも同様の方法を用いることが可能です。

いくつか注意点があります。

まず、マスターを適用した直後は正しく処理されないようです。この場合、全ストーリーの再計算(Command + Option + /)を実行することで正しい状態になります。

※上に書きましたがアキを1.05833mm以上にすることで「全ストーリーの再計算」は不要になるようです。



改行コードの段落の行頭側にインデントを設定していると改行コードが隙間に入ることができません(アキ量設定による字下げは問題ありません)。

改行だけの行にオブジェクトをアンカーしていた場合、その行はアンカー付きオブジェクトごと隙間に入ってしまいます。これを避けるためには、アンカー付きオブジェクトの段落にはインデントを設定しておくといいでしょう。

改行だけの行に表組みを設けた場合、隙間に入ってしまうことがあります。ただ、表の設定で「表の前のアキ」を適切に(行間値と同じに)設定することで隙間に入ることを回避できるようです。

その他、隙間に何かが入り込んでしまう可能性がないかという点について確証はありません。お試しになるにあたっては十分にテストされるようお願いします。
2020.7.17のサンプルデータはこちら《minimum_2020_0717a.zip》です。
posted by 照山裕爾 at 03:51| Comment(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする