2013年05月29日

正規表現スタイルの活用例……計算式の括弧の前後を詰める

DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)

下図のように文章内に計算式を記述するケースを考えます。
計算式(1行目)の括弧の前後にあるアキが気になるので、ここを詰める方法を検討しましょう。

0529-101.png

括弧の前後にアキが生じているのは『文字組みアキ量設定』(詳しくは《こちら》を参照)で『行中』の文字間が『50%(0%〜50%)』と設定されているからです。

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『行中』の値を『0%固定』に変更すれば1行目の括弧の前後は詰められます。しかし2行目の括弧の前も詰まってしまうので、その方法は採用できません。
この問題を解決するために正規表現スタイルを使用します。

括弧の前後のアキを詰める

まずは動画をご覧ください。




正規表現スタイルの設定は以下の通りです。

0529-104.png

上段は『(?<=[+−×÷=])(』に対して『前-ベタ』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『(?<=[+−×÷=])』は「直前の文字が『+』『−』『×』『÷』『=』のいずれかであること」という条件を示しています。『(』は全角の始め括弧です。
下段は『)(?=[+−×÷=])』に対して『後-ベタ』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『)』は全角の終わり括弧です。『(?=[+−×÷=])』は「直後の文字が『+』『−』『×』『÷』『=』のいずれかであること」という条件を示しています。

これで下図のように括弧の前後のアキが詰まりました。

0529-102.png


しかし上の画像をよく見ると、1行目の『−』の左右のアキ具合が違うことに気付きます。左側(『額』との間)はベタ、右側(『2』との間)は四分アキになっています。『×』と『4』の間も四分アキです。

ここに四分アキが生じているのは『文字組みアキ量設定』で『和欧間』が『25%(12.5%〜50%)』と設定されているからです。

0529-107.png

『和欧間』の値を『0%固定』に変更すれば数字と『+』『−』『×』『÷』『=』との文字間をベタにできます。しかし2行目の数字の前後も詰まってしまうので方法としては不適当です。
この問題も正規表現スタイルで解決しましょう。


計算記号の前後を八分アキにする

まずは動画をご覧ください。

※『+』『−』『×』『÷』『=』の前後をベタにすることもできますが、少し窮屈になりそうなので今回は前後とも八分アキに設定します。





追加した正規表現スタイルの設定は以下の通りです。

0529-105.png


『[+−×÷=]』に対して『前後-八分アキ』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『[+−×÷=]』は「[ ]内のどの文字でも構わない」という条件を示しています。

この結果、下図のように『+』『−』『×』『÷』『=』の前後がすべて八分アキになりました。

0529-103.png


文字間がどのように変わっていったかを下図でご確認ください。

0529-108.gif


今回のようなケースで、DTP作業者が1箇所ずつ手作業で文字スタイルを適用していくとしたら少々面倒です。全体の文章量が多くなれば負荷が大きくなり、ミスが生じる可能性も高くなります。正規表現スタイルは、そこから生まれるロスを軽減するのにとても役立つ機能なのです。
サンプルデータはこちら《minimum0529.zip》です(CS4以降)。
posted by 照山裕爾 at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月28日

正規表現スタイルの活用例……特定の言い回し部分に文字スタイルを自動適用

DTP作業者にとっての難易度 ★★★☆☆(3)

本文中に「第x章を参照」など決まった言い回しによる表記部分が多く存在する印刷物で「章番号部分だけフォントを変えたい」というケースはよくあると思います。
このような時、正規表現スタイルを適切に使えば漏れなく文字スタイルを適用することが可能です。
なお、正規表現スタイルとは何かご存じない方は《特定の文字に文字スタイルを自動適用……正規表現スタイル》をお読みください。

例その1


まずは『第x章』という表記部分を太いゴシックに、『xxページ』という表記のうちの数字部分だけを太い明朝にするケースを見てみましょう。

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下図は、この時の設定内容です。

※DTP作業者が理解すべき内容なので、難しい方は読み飛ばしても構いません。


0528-101.png

上段は『第\d+章』に対して『太いゴシック』という名称の文字スタイルを適用するという内容になっています。
『\d』は欧文数字、『+』は1回以上の繰り返し(各回は同じ文字でなくて構いません)という意味です。ですから『第1章』でも『第1234章』でも文字スタイル適用の対象になります。
下段は『\d+(?=ページ)』に対して『太い明朝』という名称の文字スタイルを適用するという内容になっています。
『\d+』は上記と同様に1桁以上の数字です。『(?=ページ)』は「数字の直後に『ページ』という文字が続くこと」という条件を示しています。

※『(?!ページ)』と書き換えると「直後に『ページ』という文字が続かないこと」という意味になります。また別の記述方法で直前の文字の条件を設定することも可能です。



例その2


次に『第x章』だけでなく『第x章x』や『第x章x.x』など節・項などを示す文字も太いゴシックにするケースを見てみましょう。

0528-103.png




下図は、最終的な設定内容です。

0528-104.png

『第\d+章』は1つめの例と同じです。
それに続く『[\d\.A-Z]*』の『[ ]』内に入力されている『\d』は欧文数字、『\.』は半角(欧文)ピリオド、『A-Z』はAからZまでのいずれかの欧文文字を示しています。
『[ ]*』は『[ ]』内に示す文字いずれかを0回以上繰り返すという意味です。0回、つまり存在しなくても構いませんし、1回でも10回でも100回でも構いません。

※つまり今回の設定では『12...C.AX8.65』などの表記でも良いことになります。ピリオドの連続を許さないとか、アルファベットは最後に1つだけなどの設定も可能ですが、今回は説明を省略します。



例その3


最後に「第x章xからxを参照」『本章xおよびx』などのように、節・項などを示す文字の間に読点や単語が挟まっているケースについて簡単に見ておきましょう。

0528-105.png



流れとしては、まずは『本章1および3』などに対してまとめて太いゴシックを適用。その後、数字やアルファベットに挟まれた『および』などの文字列に対して細い明朝を適用……という設定をしています。

0528-106.png

ここでは詳しくは説明しませんが、上段のテキスト欄は『(本章|第\d+章)(\d+(\.\d+(\.\d+(\.[A-Z])?)?)?)?((と|から|または|および|ならびに|、)[\d\.A-Z]+)*』、下段のテキスト欄は『(?<=[\dA-Z])(と|から|または|および|ならびに|、)(?=[\d\.A-Z])』となっています。


このように正規表現スタイルを活用すれば、Word原稿上あるいはプリントした紙の上で「この部分はゴシックに」などマーカ指定をする必要がなくなり、編集者の方の負担は大幅に軽減すると思います。ぜひDTP作業者とご相談のうえ、ご活用ください。

※どのような言い回しパターンがあり得るのかを事前に検討し、十分にテストしないと思わぬミスが発生する可能性もあります。慎重に運用してください。

posted by 照山裕爾 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月27日

特定の文字に文字スタイルを自動適用……正規表現スタイル

DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)

文中の特定の文字や記号のみ書式を変えたい、というケースは少なくないと思います。
たとえば下図のように「文中のカギ括弧の部分は細い文字で文字前後をベタに、数字は赤い大きな文字に変更したい」という簡単なケースを考えてみましょう。

0527-01.png


最もベーシックなのは、順番に対象となる文字を選択して文字スタイルを適用する方法です。
フォントや文字サイズ、文字色などをいちいち指定するよりは効率的ですが、該当箇所が多くなれば作業ミスが生じる可能性がありそうです。




作業ミスを防ぐには《検索した文字、置換した文字を蛍光ペン表示する》の作業と同様、正規表現による検索/置換で文字スタイルを適用したほうが良いでしょう。
ただしこの方法では、後で文字を追加入力した場合、新しい文字には目的の文字スタイルが適用されません。




このような問題を解決してくれるのが『正規表現スタイル』という機能です。
これは段落スタイル中に「この文字(記号)、あるいはこのような言い回し部分には、この文字スタイルを適用する」というルールを設定しておくというものです。

今回の場合、下図のように設定します。

0527-02.png


上段は『「|」』に対して『カギ括弧』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『|』は『または』という意味なので『始め(起こし)カギ括弧、または終わり(受け)カギ括弧』が対象になります。
下段は『\d+』に対して『数字』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『\d』は欧文数字(半角数字)、『+』は1回以上の繰り返しという意味なので『欧文数字が1つ以上連続する部分』が対象になります。

この正規表現スタイルが設定された段落スタイルを適用すると、すべての該当箇所に目的の文字スタイルの書式が適用されます。
また、後で文字を追加入力した場合、新しい文字にも同様に目的の書式が適用されます。修正・加筆などの可能性を考えると前述の検索/置換による作業よりも効率が良く、ずっと安心度が高いのです。




正規表現スタイルをあらかじめ設定しておいた上でテキストデータをペーストした場合も、すべての該当箇所に目的の書式が適用されます。




つまり事前にDTP作業者に仮テキストを渡して必要な設定をおこなっておいてもらえば、後で正式なテキストデータを渡し、それを読み込んでもらった時点で各部分の基本的な書式指定が完了していることになるわけです(もちろん、それ以外の微調整もあれこれ必要になると思いますが)。

文章量が多くなるほど正規表現スタイルは大きな力を発揮します。次回以降、さらに詳しくご紹介していくつもりです。
posted by 照山裕爾 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする