2013年05月28日

正規表現スタイルの活用例……特定の言い回し部分に文字スタイルを自動適用

DTP作業者にとっての難易度 ★★★☆☆(3)

本文中に「第x章を参照」など決まった言い回しによる表記部分が多く存在する印刷物で「章番号部分だけフォントを変えたい」というケースはよくあると思います。
このような時、正規表現スタイルを適切に使えば漏れなく文字スタイルを適用することが可能です。
なお、正規表現スタイルとは何かご存じない方は《特定の文字に文字スタイルを自動適用……正規表現スタイル》をお読みください。

例その1


まずは『第x章』という表記部分を太いゴシックに、『xxページ』という表記のうちの数字部分だけを太い明朝にするケースを見てみましょう。

0528-102.png




下図は、この時の設定内容です。

※DTP作業者が理解すべき内容なので、難しい方は読み飛ばしても構いません。


0528-101.png

上段は『第\d+章』に対して『太いゴシック』という名称の文字スタイルを適用するという内容になっています。
『\d』は欧文数字、『+』は1回以上の繰り返し(各回は同じ文字でなくて構いません)という意味です。ですから『第1章』でも『第1234章』でも文字スタイル適用の対象になります。
下段は『\d+(?=ページ)』に対して『太い明朝』という名称の文字スタイルを適用するという内容になっています。
『\d+』は上記と同様に1桁以上の数字です。『(?=ページ)』は「数字の直後に『ページ』という文字が続くこと」という条件を示しています。

※『(?!ページ)』と書き換えると「直後に『ページ』という文字が続かないこと」という意味になります。また別の記述方法で直前の文字の条件を設定することも可能です。



例その2


次に『第x章』だけでなく『第x章x』や『第x章x.x』など節・項などを示す文字も太いゴシックにするケースを見てみましょう。

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下図は、最終的な設定内容です。

0528-104.png

『第\d+章』は1つめの例と同じです。
それに続く『[\d\.A-Z]*』の『[ ]』内に入力されている『\d』は欧文数字、『\.』は半角(欧文)ピリオド、『A-Z』はAからZまでのいずれかの欧文文字を示しています。
『[ ]*』は『[ ]』内に示す文字いずれかを0回以上繰り返すという意味です。0回、つまり存在しなくても構いませんし、1回でも10回でも100回でも構いません。

※つまり今回の設定では『12...C.AX8.65』などの表記でも良いことになります。ピリオドの連続を許さないとか、アルファベットは最後に1つだけなどの設定も可能ですが、今回は説明を省略します。



例その3


最後に「第x章xからxを参照」『本章xおよびx』などのように、節・項などを示す文字の間に読点や単語が挟まっているケースについて簡単に見ておきましょう。

0528-105.png



流れとしては、まずは『本章1および3』などに対してまとめて太いゴシックを適用。その後、数字やアルファベットに挟まれた『および』などの文字列に対して細い明朝を適用……という設定をしています。

0528-106.png

ここでは詳しくは説明しませんが、上段のテキスト欄は『(本章|第\d+章)(\d+(\.\d+(\.\d+(\.[A-Z])?)?)?)?((と|から|または|および|ならびに|、)[\d\.A-Z]+)*』、下段のテキスト欄は『(?<=[\dA-Z])(と|から|または|および|ならびに|、)(?=[\d\.A-Z])』となっています。


このように正規表現スタイルを活用すれば、Word原稿上あるいはプリントした紙の上で「この部分はゴシックに」などマーカ指定をする必要がなくなり、編集者の方の負担は大幅に軽減すると思います。ぜひDTP作業者とご相談のうえ、ご活用ください。

※どのような言い回しパターンがあり得るのかを事前に検討し、十分にテストしないと思わぬミスが発生する可能性もあります。慎重に運用してください。

posted by 照山裕爾 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月27日

特定の文字に文字スタイルを自動適用……正規表現スタイル

DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)

文中の特定の文字や記号のみ書式を変えたい、というケースは少なくないと思います。
たとえば下図のように「文中のカギ括弧の部分は細い文字で文字前後をベタに、数字は赤い大きな文字に変更したい」という簡単なケースを考えてみましょう。

0527-01.png


最もベーシックなのは、順番に対象となる文字を選択して文字スタイルを適用する方法です。
フォントや文字サイズ、文字色などをいちいち指定するよりは効率的ですが、該当箇所が多くなれば作業ミスが生じる可能性がありそうです。




作業ミスを防ぐには《検索した文字、置換した文字を蛍光ペン表示する》の作業と同様、正規表現による検索/置換で文字スタイルを適用したほうが良いでしょう。
ただしこの方法では、後で文字を追加入力した場合、新しい文字には目的の文字スタイルが適用されません。




このような問題を解決してくれるのが『正規表現スタイル』という機能です。
これは段落スタイル中に「この文字(記号)、あるいはこのような言い回し部分には、この文字スタイルを適用する」というルールを設定しておくというものです。

今回の場合、下図のように設定します。

0527-02.png


上段は『「|」』に対して『カギ括弧』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『|』は『または』という意味なので『始め(起こし)カギ括弧、または終わり(受け)カギ括弧』が対象になります。
下段は『\d+』に対して『数字』という名称の文字スタイルを適用するという設定です。
『\d』は欧文数字(半角数字)、『+』は1回以上の繰り返しという意味なので『欧文数字が1つ以上連続する部分』が対象になります。

この正規表現スタイルが設定された段落スタイルを適用すると、すべての該当箇所に目的の文字スタイルの書式が適用されます。
また、後で文字を追加入力した場合、新しい文字にも同様に目的の書式が適用されます。修正・加筆などの可能性を考えると前述の検索/置換による作業よりも効率が良く、ずっと安心度が高いのです。




正規表現スタイルをあらかじめ設定しておいた上でテキストデータをペーストした場合も、すべての該当箇所に目的の書式が適用されます。




つまり事前にDTP作業者に仮テキストを渡して必要な設定をおこなっておいてもらえば、後で正式なテキストデータを渡し、それを読み込んでもらった時点で各部分の基本的な書式指定が完了していることになるわけです(もちろん、それ以外の微調整もあれこれ必要になると思いますが)。

文章量が多くなるほど正規表現スタイルは大きな力を発揮します。次回以降、さらに詳しくご紹介していくつもりです。
posted by 照山裕爾 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月24日

InDesignの文字間調整について(2)

DTP作業者にとっての難易度 ★★☆☆☆(2)

前回に続いてInDesignの文字間調整機能についてご紹介します。

文字前のアキ量、文字後のアキ量


選択した文字の前後のアキ量をプルダウンメニュー(『自動』『ベタ』『八分』『四分』『三分』『二分』『二分四分』『全角』)で設定します。『自動』では『文字組みアキ量設定』の設定値が使われます。約物前後のアキを設定するのに便利です。




カーニング


カーニングは、特定の文字の組み合わせに対する文字間調整機能です。『自動調整』と『手動調整』があります。

自動調整

文字を選択した状態で『和文等幅』『メトリクス』『オプティカル』から調整方法を選択します。

『和文等幅』では文字の形状に合わせた文字間調整はおこないません。ベタ組みや均等詰めなどの際に選択します。

※いわゆる半角欧文文字は文字の形状に合わせて詰められます。


『メトリクス』では文字の形状に合わせて自動的に文字間が詰められます。たとえば横組みでは「ッ」「ト」などの文字間は「ヘ」「ア」などに比べて大きく詰められることになります。タイトル文字や見出しなど、ツメ組みにしたい場面で使用すると便利です。文字間調整にはフォントメーカーが可読性を考慮して設定した値が使われます。

『オプティカル』ではInDesignが文字の形状を判断し、隙間なく並ぶように文字間が詰められます。『メトリクス』とは詰まり具合が異なります。フォントメーカーが詰め情報を持たせていないフォントでも文字詰めが可能です。



(追記/DTP作業者の方へ)

InDesignには『OpenType機能』の『プロポーショナルメトリクス』という項目もあります。『カーニング』で『メトリクス』を使用する場合は、こちらもチェックしたほうが良いようです。こちらの方(なんでやねんDTP)が詳しくお書きになっており、とても勉強になりました。


手動調整


文字と文字の間でカーソルを点滅させ、数値で文字の詰め具合を調整します。単位は1/1000emです(1emは全角1文字分の幅だと考えれば良いでしょう)。たとえば値を「-500」と設定すると半角詰まることになります。気になる箇所の微調整で使用するケースが多くなると思われます。




字送り


文字を選択し、数値で文字の詰め具合を調整します。単位はカーニングの手動調整と同じく1/1000emです。主に均等詰め、均等開けに使用することになるでしょう。ただ、均等詰めをおこなうと漢字や欧文文字が詰まり過ぎる(文字同士が接する)可能性が高くなるので、今日では詰める目的での使用頻度は高くないと思います。



文字ツメ


各文字の前後に存在するアキのうち何パーセントを詰めるか、を設定します。同じ設定値でも、もともとのアキが大きいところほど大幅に詰まることになります(漢字や欧文も僅かに詰まりますが文字同士が接する可能性は『字送り』ほど高くはありません)。キャッチコピーなど詰め気味に組みたい時に使用すると効果的です。

※カーニング『和文等幅』の状態から文字ツメをおこなっても構いませんが、カーニング『メトリクス』とし、さらに詰めたい場合に軽く文字ツメをおこなうという方法もあります。






このようにInDesignの文字間調整機能は多彩で、さまざまな体裁を実現することができます。編集者の方に「こんな状態を実現したい」ということを丁寧にご説明いただければDTP作業者は使うべき機能を選択しやすくなります。ぜひ、DTP作業者とじっくり話をしてください。
posted by 照山裕爾 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | InDesign-書式・スタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする